YIC京都ビューティ専門学校 天野和真さんに聞く美容業界の課題 vol.2
京都府京都市下京区にあるYIC京都ビューティ専門学校 美容科科長 天野和真さんに2回にわたりインタビューをしてきました。
第2回となる今回のインタビューでは、人材不足に悩む美容業界について、現在の課題や、即戦力を育てるための教育指導について教えていただきました。美容業界の教育の秘密にせまります。
これから、YIC京都ビューティ専門学校への入学や、どういった学校なのかが気になるかたは、ぜひご覧ください。
「学校教育と現場教育のギャップ」をなくす教育指導
— 就活においてはどのような指導体制があるか、教えていただけますか?
本校の学生には特別、就活という枠を設ける必要がありません。
ただ、一応、1年間の就活ストーリーはあって、入学と同時に就活が始まっている認識です。
ストーリーとしては、まず、1年生の春先~夏までサロンの就職イベントに参加し、大まかなサロンを知ってもらいます。
その後、入学からの1年間で、全員が最低3企業のインターンシップに行くことになります。
期間はそれぞれ4日間、4日間、8日間となっていて、3企業それぞれ違った目線で選んでもらいます。
- 初回は「サロンワークを知るため」自宅から近いサロン
- 2回目は「普段学んでいる事が現場で通用するか確認するため」学生の行きたいサロン
- 3回目は「美容師になる意志を固めるため」就職を見据えたサロン
といったものですね。
あと、学内ガイダンスは大きいものを1月に行っていて、これを就職意識を高める機会にしています。
ただ、YICでは基本的に、普段の授業で50社の企業が関わっているので、授業を通して学生はすでにサロンを知っているんです。1年生の終わりにはみんな就職意識が高くなっているので、特別サロン見学を促す必要もありません。
そして、2年生に上がった4月には2、3企業に絞って、5月から就職試験を受けていきます。中には1年生の2月に、もう内定を頂いている学生もいる状態。
早く内定を頂けば早く現場の実践練習に入れる。
入社する頃には不安なく、スムーズに社会人がスタート出来る。
学生は、社会人スタートの不安を少しでも取り除いて、早く自分の活躍出来る場所を作ることが大切です。
周囲から認めて頂くことが多い程、「やりがい」と「自信」を持って仕事に望めるんですね。
YICではそのためにも、「学校教育と現場教育のギャップを減らす」ということをとても大事にしていて、そうすれば入社してからの離職率は低下すると考えています。
サロンと学生、両方の「学び」。資格中心ではない実践教育を
— 実際のサロンからの学生評価はどのようなものなのでしょうか?
もちろんサロンからの学生の評価は高い。
でも、大切なのはサロンと学生、両方の学びです。
サロンが実際の授業に入る事で、サロンも学校もお互いに「学び」が生まれます。
サロン側は、普段コーチング形式でスタッフ教育をしている事がほとんどで、「コーチング」には慣れています。ただ、学校で教えるとなると要求されるのは「ティーチング」です。
それが出来ないと大半の学生に伝わらない。
ティーチングが身に付いたサロンスタッフはプレゼン能力が上がって、それは後輩の指導だったり、お客様のカウンセリングだったり、いろんなところで役に立つんです。
授業のために作成した資料も、ただ学生用として使うだけじゃなく、サロン側が「自店のスタッフと学生の違い」を知るツールとしても使えます。
そこから、現在の美容学生を知る事で、新人教育の見直しをすることもできます。
つまり、授業をすることが、サロンスタッフのスキルアップ、サロン教育のレベルアップにつながってるんです。
さらに、授業を通して求人活動にもつながります。
学生にとっては授業がサロンを知るキッカケになります。良い印象があればサロン見学にも行くし、そのまま就職したいと考える学生もいる。
求人活動で学校を回るサロンは多いと思いますが、結局、求人票やサロンパンフを学生に見せるだけでは大して求人につながりません。美容業界の離職が深刻になっている今、そろそろ、国家試験中心の専門学校授業の在り方を考える必要があるんです。
実際のサロンと普段から授業で接しているので、サロンからの学生評価は低いはずがありません。実践教育が多い授業を受けているだけに、目先のスキルを身に付ける事では無く、職業観を早い段階から養う事で、将来の明確なビジョンが描きやすくなるんです。
そんな学生たちを見ていると、やはり、専門学校カリキュラムの重要性を改めて感じます。
<編集部より>
YIC京都ビューティ専門学校 天野和真さん、有難う御座いました。
人材不足や離職率の悪化が問題視されている美容業界。学校教育の段階から現場を知ることの大切さを感じました。
学生のころから、資格を取るだけではなく、授業でサロンと接し、現場を知り、実践力を身につけること。
それによって、社会人になってからも、自信を持って働くことができるんですね。