爆速成長の裏側にある、 関わる人が幸せになるサロン経営のあり方とは?THEATER代表取締役 三浦さんインタビュー[第三回]
共同経営という新しいスタイルをとり、明確な役割分担ができているからこそできる爆速経営。
圧倒的なスピードでの成長をとげるなか、代表として経営面での葛藤はあるのでしょうか。
そして多くの経営者が成長する中で抱える葛藤に対して、どのような意識で向き合っているのかお伺いしてきました。
最後には美容業界を目指している美容学生へのメッセージをいただきました。
どのような意識で働いてい行くべきなのか、わかりやすくお話いただいております。
ビジョンをベースに、更なる成長へのロードマップは描けている。
―新しい、共同経営という経営スタイルですよね。自分1人ですべてやらないっていう選択肢は今の美容業界では出てきていますよね。お話を伺っていると企業で言うと、今はまさに成長途上の成長期真っ只中ではないかと思うんです。冒頭ご質問させていただいた3つの主題に照らし合わせた観点で見れば成長期特有のいろんな葛藤があると思っておりまして、今1番ご自身の中で悩ましいこととか、そういうことがあればお話いただけければと思いますが、いかがでしょうか。
――まあでも、やっぱり規模ですかね。このスピード感でスタッフの数が多くなっているので理念やビジョンをただ知っているレベルではなく、深い意味まで正しく浸透させて発揮してもらう事が最重要だと考えています。
ウチの場合は毎週日曜日の営業を早く閉めてそのあとの時間をミーティングの時間にしてもらっています。1週間の営業での反省や、どうやったらより多くのお客さまに喜んでもらえるかなどの話ももちろんしますが、各店の店長から会社が大切にしている事や目指している方向の浸透共有の時間は必ず作ってもらっています。これは創業時からやってるんですよね。規模が大きくなればなるほど組織の正しい文化を創っていく事が働くスタッフたちの人生に責任が持てる強くて大きい組織になるために必ず必要な要因になってくると考えています。
ウチの会社はビジョンとロードマップが明確にあります。2020年にはここ、2021年にはここ、2022年はここ、2025年にはここ、みたいな感じで計算しながら設計図を描いています。そのために、先回りして今何をしなきゃいけないか、どのレベルになってなきゃいけないかを常に照らし合わせて見ています。だからそこに対して、このままだと間に合わないとかこのタイミングでおそらくこんな落とし穴があるから先回りして準備が必要だとか。もちろん数字的な部分だけではなく、再三お話している美容室は人が資本ですから、常にその人に関して細心の注意を払うわけです。
ちょっと人が辞めるな、とか。ちょっとみんなの表情が曇ってるな・・・とか。この「お、ちょっと」みたいな笑。そこの感覚から、社員に向けてヒアリングします。
細部にこだわってこそ本当のサポート。そして物心両面という考え方
―まさに細部に神は宿るということですね。
――そうですね。でも全ては細部からじゃないですか。でも僕だけがそこを意識できていても手が届かなかったり間に合わなかったりするのでそこはウチの優秀な幹部たちに助けられています。ウチの幹部達は本当にみんな利他的なんですよね。人のために、後輩たちのためにっていう、その理念がしっかり浸透しているので。まぁそれが出来るから幹部に上がれるんですけど。
ウチではそこにテクノロジーを駆使して、社員の意見の吸い上げスピードを最大限速める仕組みも導入しています。スタッフが何を考え、どう想い、どういった気持ちで働いているか、人間関係は上手く行っているのか、全スタッフにアンケートを取っています。
もちろんそれでアンケート取っているからOKではなくて、ちゃんと言ってもらえる自分たちづくり。そして、ちゃんと言いやすいツール、仕組みづくり。まだまだですけどこういった部分も細部に拘っていますね。
あと自分が心がけていることは、自分がどうされたら嬉しいかっていう感覚を基本に全て考えています。
これは社員にも言っています。「自分がされて嬉しいことは、人にしなさい。自分がされて嫌なことは、人にしてはいけない」って。
基本的なことこそ出来ていない人が多い今の世の中で、こういったことを伝えていくのはとっても大事だと思うんですよね。それができない大人、人が多すぎるからこそ、そういうコトを大切にしたいんですよね。
じゃないと、すごい経済力、お金を稼ぐ力はあるけど人からは好かれないとか。それだとその人の人生ってたぶん豊かにならないんですよ。お金を稼ぐためだけ、お金に溢れてお金に困らない人生を送れるかもしれないけど、本当にその人生を共有できる仲間がいないとか。その人が死んだときに、悲しんでくれる人がいないとか。そういう人になってほしくないな、って心から思います。
稲盛和夫さんの言葉で言うと、「物心両面」。経済力と人間力だと思っています。その両方をちゃんと身につけていくためのウチは「教育機関」だよって全スタッフに伝えています。美容室を事業としてやっているけど本質は人を育てる教育機関だよって伝えているんですよね。
だからお客さまに支持されればいい、じゃなくて、それは当たり前。大切なのは一緒に働く後輩や仲間に、やっぱり「〇〇さんがいて良かった」とか、「〇〇さんと働きたい」とか。お客様だけではなく一緒に働く仲間にどれだけの価値の提供が出来るかが大切だと思っています。
その流れで、「じゃあ一緒にお店やりたいです」とかなっても、別にいいと思うんですよ。
じゃあ、そのときに完全独立して出ていくのか。うちの会社を使って社内独立なのかとか。そこは逆にその当人が選べばいいと思っていますし会社に魅力や将来性があるかどうかの指標になると考えています。
THEATER三浦代表からの美容学生へのメッセージ
―今、葛藤っていうか、「規模」っていう言葉にはいろんなものが含まれてるな、って思いました。ありがとうございます。最後の質問になりますが、「教育機関」でありたいと考える立場のサロンとして、美容学生にどうあって欲しいかメッセージをいただければと思います。
――まずは学生の皆さんには無限の可能性があるということ。
それを信じて行動した人だけが将来大成する人になるのではないでしょうか。
人間は教育によって大抵のことはどんな事でも出来ると思っています。それが若ければ若いほど。
ただその成長には土台と段階があると思っています。
だからまずはテクニックではなく人としての土台をしっかり創ることから始めていただきたいと思っています。
抽象的な話になるんですが人間には、依存型の人間と自立型の人間、その先に相互依存型というのがあります。が今回は依存型と自立型について。
おそらく9割以上の人は依存型と言われています。これはシンプルに言ったら、人のせい、物のせい、事のせいにする人です。
でも、成功できる人っていうのは、自立型の人間で、人のせい、物のせい、事のせいにしない人なんですよね。何があっても、人のせいにしない。
友達と喧嘩するとか、もっと言ったらグループの中で自分じゃなくて友達同士が喧嘩することすら、自分に何ができたかなって思ってほしいんですよ。もっとこの子たちの話を事前に聞いてあげてたら、この子たちは喧嘩しなかったかもしれないとか。
話は単純ですがこれを100%実践するのは正直かなり難しいです。
でも大切なのはそういう人で『在ろう』とすること、そういう人で在ろうと意識し続けられたらそれだけで成功するための一歩を歩めてるよねって話をするんですよ。なぜなら、自立型の人間っていうのは、どうやったら周りがもっと良くなるか、どうやったらもっと改善できるかっていうのを常に考えているから。
問題は成長の種だから、問題が起きたときに、その問題を自分のせいじゃない。ってした瞬間にその種って腐っちゃうんですよ。終わっちゃうんですよ、そこで。
だけど、それが1%でも、いや0.1%でも、自分に何が出来たかって思えるようになれば、「それをどうやってやったら、そうならなかったのかな」っていう発想になるんですよね。これって成長じゃないですか。
だから、これって美容学生でも、高校生でも、中学生でも、できることなので。全ては意識次第なんだよって。
まずは自立型の人間を目指せれば、いろいろと今まで見えなかったものが見えて来るんだと思います。
押し付けではなくそうゆう風に思える環境を創って、一人でも未来ある美容師のサポートをTHEATERという組織を通じて出来ればと思っています。